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第6回 省エネルギー性能で選ぶエアコンの技術ポイント (2024年04月04日)

エアコンの省エネルギー技術のポイント

カーボンニュートラル社会を目指す中で、省エネルギー家電を選ぶことは、CO2の排出量削減とともに電気代の節約にもつながります。とくに、燃料調整費が高騰した現在では、電気料金を抑えることは重要度を増しています。一般に、通年エネルギー消費効率=APFの値が大きいエアコンを選ぶのが正解であると思われますが、とことん納得したい人のためにこのページでは、筆者なりに検討した内容をまとめました。省エネルギーの観点からエアコンを設計する際の重要ポイントを考えた場合、熱交換器、インバーター+モーター+コンプレッサー、風向風量制御の順で着目すべきではないかと考えます。省エネルギーを目指す共通の観点から、第7回ガスふろ給湯器の導入事例についても掲載しましたので、よろしければご参照願います。

熱交換器の進化

熱交換器は室内機&室外機とも、大きい方が効率は良くなると考えられます。それは、なぜか? もし、以前のエアコンように小さい熱交換器の場合だと、冷房のときには室内側の熱交換器の温度をより冷たく(暖房のときにはより暖かく)しないと同等の熱交換ができません。これが、最新の高効率タイプのエアコンでは熱交換器が大きくなり、ほどほどに冷たくするだけでも十分な冷気を得ることができます。このような考え方にもとづくと、微風では十分な熱交換が難しいので、風量をある程度増やしておくことも重要だということがわかります。送風ファンの消費電力は、中くらいまでであればあまり大きくないので、省エネ実現のためには室内機・室外機ともに静音&微風設定は行わない方が良いでしょう(除湿は除く)。異なるエアコン同士で熱交換器の大きさを正確に比較することは難しいですが、室内機や室外機の外形サイズや質量、内部構造図などから推し量ることができると思います。

熱交換器の素材は熱導電率が高い銅を使ったものが多かったのですが、価格高騰により、アルミニウムへのシフトが進みつつあります。銅製の部品が熱交換器がどの程度使用されているかも気になるところです。以下に、今回取り扱う14畳用4kW出力のエアコンの室内機、室外機の寸法および質量をまとめます。2008年モデルのナショナルCS-EX408Aは筆者が使用していた機種に近いモデル。2022年モデルの三菱電機の霧ヶ峰スタンダードモデルMSZ-GE4022SとプレミアムモデルMSZ-FZ4022S、日立白クマくんRAS-X40M2の4機種です。


14畳用4kWエアコンの室内機&室外機のサイズ比較(2022年時点、以降のデータは2023年型や2024年型にアップデート)

ここで注目していただきたいのは、通年エネルギー消費効率APF (Annual Performance Factor)です。年間を通して1の電気エネルギーで、どれだけの熱エネルギーを運ぶことができるのか?を示す数値です。(正確には冷房・暖房能力が得られるか?)以前は、COP (Coefficent Of Performance)の値が広く使われていましたが、こちらは夏場や冬場の標準的な状態での効率を表していました。APFは、外気温と室温の温度差が小さい条件での運転を含むことにり、COPの値よりも大きくなる傾向があります。エアコン、冷蔵庫、エコキュートは、モーター+コンプレッサ(=圧縮機)で気体の冷媒を、圧縮して液化する仕組みで、このときに熱が発生して高温になります。これを外気で冷ましたあとで、気化させると周囲の熱を奪います。これが冷房モードです。反対に室外を冷やすようにすると、室内では暖房モードとなります。これがヒートポンプの原理です。APFが7の場合は、年間平均で1の電気エネルギーで、7の熱を室内に持ち込むことができます。電気ヒーターはエネルギー保存則に従い効率100%ですので、1の電気エネルギーから1の電気エネルギーが生まれます。つまり、ヒートポンプはエネルギー効率に優れた空調機であるといえます。下図は1の電気エネルギーから7の熱エネルギーが得られるイメージです。寒冷地では外気の熱を奪って室内を温めるヒートポンプの揚程が大きくなるため効率は悪化します。このようなケースでは、寒冷地仕様に特化した能力の高いエアコンを選択した方が良いでしょう。


ヒートポンプの原理(一般財団法人ヒートポンプ・蓄熱センターより)


暖房時に1の電力から7の熱を室内に移動させるヒートポンプの動作の様子(一般財団法人ヒートポンプ・蓄熱センターより)

上記のエアコンのAPFを比較すると、2008年モデルのCS-EX408A2は15年前のモデルということもあって、4.6と一番低くなっています。EXシリーズは中位モデルであり、当時としては普通にがんばっていたエアコンであると思います。低価格帯のエントリーモデルである三菱電機の22年モデルMSZ-GE4022SのAPFは4.9となっていますので、若干ですがEXよりは改善されています。一方、同じクラスの22年モデルであるパナソニックのCS-EX402D2のAPFは5.8ですので、これが14年間の平均的な改善幅になっていると考えてよいでしょう。日立の白クマくんXシリーズと三菱電機のFZシリーズは、省エネルギー性能でトップクラスの製品になります。RAS-X40M2のAPFは7.5、MSZ-FZ4022Sは7.8に達しています。本当か?と思えるほどの高効率になっています。(2023年モデルの仕様を下記に示しましたが、2022年から23年にかけてAPFが低下しています。それまでは5%の許容誤差の範囲内で高めの数値が使われていたのかもしれません。) ここで、エアコン室内機の側面から見た形状の進化について、イメージ的に示します。


エアコン室内機の内部構造の変化(右に行くほど熱交換器が大型化して熱交換性能が進化)

昔の室内機は、前面から空気を取り入れ、下部から吹き出すというものが多くありました。これが、熱交換器の面積を増やすために、上面側、裏面側へと拡大していきます。近年は、上部から吸い込んで、下部から吹き出すという形がスタンダードになっているように感じます。熱交換器は拡大方向で、室内機の高さよりも奥行きの方が大きいというものも増えています。室内への異様なほどの出っ張り感=圧迫感は耐えがたいと感じている人も多いのではないかと思われますが、これも省エネルギー性能を高めるために一生懸命に考えた末の形であります。奥行き方向の拡大で、手前側に大きく出っ張る形状になったのは、熱交換器が正常進化した結果なので、どうか理解してあげてください。

長年をかけて達成されたAPFの性能向上は、熱交換器の大きさ→室内機・室外機の大きさ&重さが大きく関係していると筆者は考えています。今回の比較では、エアコンの室内機・室外機の大きさがともに大きく、重いものの方が現実としてAPFの値は大きくなっていました。ただし、各メーカーのフラッグシップとなるエアコンの室外機の大きさは同じクラスとは思えないほど大きくなりますので、ご自宅のベランダなどで設置可能かどうかを事前によくよく確認しておく必要があります。とくに、三菱電機のFZシリーズの室内機は800mm未満というJIS規格サイズを越えた寸法フリーモデルです。一般的な機種よりも10cmほど幅が広くなっているので、設置スペースを確保できるかが重要となります。

期間合計消費電力量は、1年間を通して暑いときから寒いときまでを通算した消費電力量となります。これは年間電気代と直結します。ただし、使用条件によって増減することがあります。たとえば、トリプルガラスや真空断熱ガラスを使用するなどの最新の高断熱住宅になると、地域にもよりますが後述する地域係数が1付近の地域であれば、畳数目安の2倍くらいの広さの部屋でも問題無く利用できるでしょう。また、窓ガラス越しに直射日光が差し込むと、部屋の中で可視光であっても吸収されて熱に変換されます。これは、温室効果そのもので、まさに窓ガラスが温室効果を与えているのです。また、屋外の赤外線は、室内に入ってくることもあります。このようなことが起こると、冷房時には南面側が一番厳しそうに思われがちですが、夏場は真上に近い高度にあるので、実は午後に西面が日光を受けるのが一番厳しい条件となり、トータルでは消費電力量が大きくなりやすいです。角部屋で南面にも西面にも窓がある場合には、さらに悪化するでしょう。また、設定温度を控えめにする、換気を弱めに行うことで、エアコンの消費電力は少なくなります。主に外気温と室内設定温度の温度差に比例して、屋外と屋内の間で熱の出入りが発生するので、消費電力もそれに応じて増減します。とくに高負荷時はヒートポンプの効率が低下するので、消費電力はさらに悪化します。

筆者が住むマンションは2008年に竣工したものですが、シングルガラスに断熱フィルム(これは下記で別途紹介します)を貼った状態で、期間合計消費電力量はカタログ値の7割程度で済んでいました。電気代が値上がりする中で、APFや期間合計消費電力量の違いはますます気になるところです。電気代は1kWhあたり31円(2022年6月までは27円だったのですが7月に改定されました)。その後、燃料調整費は高騰し続けていて、筆者宅では23年1月の請求分は一時的に43円/kWhを超えてしまいましたが、以下は31円/kWhで計算しますので、その時点の単価で適宜補正してください。年間1000kWhを消費で31,000円程度、1500kWhだと46,500円になります。14畳用のエアコンの場合は機種によって年間で1万5千円程度〜の差が出ると考えてよいと思います。10年間で15万円(少なめに見ても10万円)程度〜の差が生じますので、買い換えの際には十分に検討する必要があります。なお、20年以上前のエアコンであれば、躊躇なく買い換えてよいのではないかと考えます。とくに1995年以前の製品の場合はエネルギー効率がかなり悪いので、年間の稼働時間が長い場合には速やかに交換することを強く推奨します。参考事例として私が通う居酒屋にあったダイキンのエアコンをモデルケースとして紹介します。エアコン室内機の下側などに、このようなステッカーが貼ってあるの見たことがあると思います。

ここから、F36HTNSという機種で、定格冷房能力が3.6kW、定格冷房消費電力960W、標準の定格暖房能力4.2kW、定格暖房消費電力955Wなどの情報が読み取れます。エネルギー消費効率は冷暖房平均で4.07とありますが、これは古いJIS規格の時代の表示です。通年エネルギー消費効率APFは、2006年秋から表示されはじめたためここには書かれていませんが、取扱説明書には4.6とありました。APFが5未満であれば、できれば買い換えたいところです。2023年時点では、APFで7.0以上がトップレベル、6.6前後が上位機、5.8前後が標準機であると考えるとよいでしょう。もちろん、APFが大きい方が省エネ効果は期待できますが、エアコン自体の価格も上がってしまうため悩ましいところだと思います。最近は電気代が高騰してきたのでここはがんばりどころです。

インバーター+モーター+コンプレッサーの進化

電気鉄道=電車、電気自動車をはじめとして、インバーター+モーターの進化はエアコンや冷蔵庫などの省エネルギーの性能向上にも大きく貢献しています。以前は、周波数が50Hzあるいは60Hzの100Vの交流電圧に比例して回転する誘導モーターが使用されてきました。この交流電圧を直流電圧に変換(=整流)し、さらにこの直流電圧から任意の周波数の交流電圧を生み出すのがインバーターです。Inverterはデジタル回路の業界では反転器という意味ですが、パワーエレクトロニクスの分野で直流電圧から交流電圧を生み出す回路もインバーターと呼ばれていす。クルマの直流電圧12Vから交流電圧100Vを作るのもインバーターですが、こちらは、単相といって一方がグランド(基準)に対して、他方がプラスとマイナスに振れています。これに対して、電気自動車やエアコンでは、それぞれ120度位相がずれた3つの交流電圧を発生させた三相交流を作り出しています。 このインバーターの進化に大きく関わったのがパワートランジスタです。現在はシリコンのIGBTというものがメインに使われていますが、歴史と共にスイッチング速度が速く、電気抵抗が小さいものへと進化しています。

モーターは、永久磁石を使用したAC同期モーターが主流となっています。このモーターのローター(回転子)には、コストパフォーマンスを上げるために、埋め込み永久磁石(Interior Permanent Magnet: IPM)が用いられています。このIPMは、磁石の吸引反発力と鉄の吸引力を合成することで、回転力(トルク)を生み出すことができます。また、ステーター(固定子)の電磁石には、鉄芯と巻き線がありますが、鉄芯に使われる電磁鋼板の進化も変換効率を高めるのに寄与しています。このあたりも、電気自動車と共通した技術となっています。 三菱電機のFZシリーズは、新幹線N700Sやテスラのモデル3などのでも使用されている、フルSiCインバーターモジュールを採用していると思われます。同社では、DIPIPM (Dual-In-line Package Intelligent Power Module)と呼んでいます。さらに、Y-Δ(スター−デルタ)結線切換モーターを採用することで、低負荷時と高負荷時の効率を高めることに成功しているそうです。このような技術は高く評価され、一般財団法人機械振興会より平成30年度第53回機械振興賞を受賞しました。残念ながらこのような技術については、商品紹介WEBサイトやカタログではあまり詳しく書かれていません。

地域係数

みなさんがお住まいの地域は、寒冷な地域でしょうか?それとも温暖な地域でしょうか?エアコンは周囲の温度でも効率や消費電力が変化します。この地域の気温差によるエアコンの消費電力を補正するものとして「地域係数」があり、東京の気象条件を1.0としています。寒冷地では、補助暖房(電熱ヒーター)の消費電力量が加算されています。おそらくは、最近の暖房性能を向上させた寒冷地仕様のエアコンの場合は、除霜運転時間を減らしてるので、ここまでは地域係数が大きくならない可能性があると予想します。なお、寒冷地仕様のエアコンについては、2022年時点で適当な評価方法が確立していないため、現在新たに基準を設定しようとしています。また、近年の高気密・高断熱住宅は熱の出入りが少ないため、たとえばUA値(外皮平均熱貫流率)が0.5で、C値(隙間相当面積)が0.5のような場合、エアコン畳数目安の1/3の能力でカバーできるケースもあるようです。なお、同じ地域であっても、沿岸部と内陸部では気温に差があり、沿岸部の方が冬は暖かく、夏は涼しくなります。また、平地と高所では高所の方が気温が低くなるので、自分の家がどのような環境になるのか一度考えてみましょう。

地域係数

地域

冷暖房兼用機

地域

冷暖房兼用機

地域

冷暖房兼用機

地域

冷暖房兼用機

東京

1.0

新潟

1.5

名古屋

1.3

高知

1.1

札幌

3.1

前橋

1.4

大阪

1.2

福岡

1.1

盛岡

2.3

松本

2.0

米子

1.3

熊本

1.2

秋田

1.9

富山

1.5

広島

1.2

鹿児島

1.0

仙台

1.6

出岡

0.8

高松

1.2

那覇

0.6

省エネ運転のヒント

エアコンも電気自動車も、急加速時=高出力を出すときに効率は低下します。これは、モーターの特性によるもので、巻き線を流れる電流が増加して、コイルを流れる電流の一部が熱になるからです。これは、ジュール損(P=R I2)と呼ばれるもので、モーターや電力業界では銅損と呼ばれています。また、コンプレッサーも同様に高出力運転を行うと効率が低下します。急速運転時は気温との間で、熱交換器でもより多くの温度差を与える必要があり、揚程が増えた分はシステムとして効率低下を招きます。 電源を入れた瞬間に、設定温度と室温の差が大きい場合には、気が短いご主人様が我慢しなくて良いように、エアコンはできるだけ速く設定温度に近づけようとして、通常は高出力運転を行います。この急速運転を行っているときに、エアコンの効率が低下し消費電力が増えるので、この状態にならないようにするのが省エネ運転のポイントとなります。

多くのエアコンにはブレーカーを落ちにくくするために、メーカーによって表現が異なりますが「電流切換」、「ピークカット」、「電流Lo」などの設定項目がリモコン設定にあります。この設定は高出力運転を避ける効果があるため、節電の効果は得られると思います。自動車でいうところの馬力制限をかけるようなイメージで、ゆっくり加速になります。

また、冷房の場合は最初は設定温度を高め(たとえば室温が32℃のときは30℃)にしておき、室温の低下とともに室温と2℃、できれば1℃以内を保ちながら徐々に下げていくとよいでしょう。反対に、暖房の場合はあらかじめ低めに設定して徐々に上げていくとよいでしょう。このような方法を採ると高出力運転領域から逃れることができるので、節電には効果があると考えます。筆者の場合は、猛暑の夏場は30〜31℃、極寒の冬場は16℃以下にならないような設定として連続的に運転するようにしています。室内に入ってからの操作だと我慢する時間が長く感じられるので、Wi-Fi対応のエアコンであれば家に帰る前にスマホで運転を開始し、設定温度を変えていくというような使いかたができます。また、タイマー設定で4種類の時間と温度を設定できる場合には、朝方や帰宅前などで予め運転をセットしておくという方法もあります。

とにかくポイントとなる考え方は、一気に温度を変える高出力運転を行わないようにすることです。なお、微風や弱風の設定は熱交換器の効率を十分に得ることができないため、外気温と室温の温度差が大きい場合には、エネルギー効率が悪化するので要注意です。室外機の「静音」設定や室内機の微風設定を行うことは、避けた方がよいと思います。なお、夏場などで部屋に熱気がこもっている場合には、まず換気扇や窓開けなどで、熱気を追い出すことも重要です。

遮熱効果がある断熱フィルムで熱貫流率を下げる

筆者自宅のロケーションは、比較的温暖な気候である神奈川県西部。2008年竣工のマンションで、24時間換気あり。窓は残念ながらシングガラス(5mm厚)のアルミサッシです。リフォームでペアガラス以上の断熱性能が高いサッシに交換したいところですが、入居直後は管理組合との調整もつてがなく、費用もかかるので将来の課題としました。そこで、Low-Eガラスのような遮熱効果がある断熱フィルム(リンテック「レフテルZC06T」)を窓ガラスに自分で貼ってみました。透明フロートガラス(3mm厚)にフィルムを貼付けての測定値として可視光透過率75%で熱貫流率が4.2W/m2Kとなるもので、データシート上では元のガラスの6W/m2Kの7割程度の熱移動に抑えてくれます。ペアガラスにはかないませんが、フィルムとしては最高レベルの断熱性能であると思います。現時点で、本製品はディスコンになったようです。代替になりそうなものとして、可視光透過率が45%で暗めになりますが熱貫流率が4.1W/m2Kの「ZC05G」が販売されているようです。3Mからは可視光透過率72%の「LOW-E70」という断熱フィルムが販売されていて、熱貫流率は4.6W/m2Kであり候補となり得ます。しかしながら、フィルムといってもLow-E膜相当であり高価となっています。しかも、樹脂サッシ+トリプルガラスなどのサッシの断熱性能にはまったく及びません。断熱ガラスの中では、我が家はマンションであることから既存のアルミサッシ枠にはまりやすい日本板硝子のスペーシアクールが気になっています。断熱性能を優先するのであれば、内窓の追加を選ぶべきなのかもしれませんが、窓の開け閉めや窓掃除のことを考えると面倒そうなので、アルミサッシ枠の断熱方法を模索しているところです。ニトムズのサッシ枠断熱テープがあるのは知っていますが、樹脂プレートを貼るなど、もう少しスマートな方法がないかと考えています。

リビングルーム用14畳型エアコンの検討事例

まず、一番広いリビングルームのエアコンについて考えることにしました。部屋は東向きで、北面にも窓があります。LDK構造で17帖+3帖と広めです。(ここでは、帖と畳は同じ面積として扱います。畳は和室ではしっくりしますが、フローリングだとあれっ?という感じなので帖という表記もあるそうです。)マンションは中古で購入したのですが、エアコンは設置済み。Panasonic(National)CS-EX368Aは、100V仕様の12畳用3.6kWタイプでした。設置から14年が経過し、APFが4.8と2022年時点の製品と比較すると高くないことから買い換えを決断しました。ここで、直近の消費電力量を計測した結果を示します。

2020年6月〜2022年6月のCS-EX368A消費電力量の実測値(kWh)
  1月 2月 3月 4月 5月 6月 7月 8月 9月 10月 11月 12月 年間合計
2020年消費電力量(kWh)           16.65 63.04 218.68 69.03 0 28.67 204.83 -
2021年消費電力量(kWh) 262.10 173.80 77.88 14.88 0.04 14.73 117.67 170.38 33.39 25.49 63.88 199.19 1153.43
2022年消費電力量(kWh) 280.30 221.41 95.32 22.06 3.33 17.31             -

100V仕様のCS-EX368Aの期間消費電力量は1503kWhであり、実測された1153.43kWhと小さかったため、定格性能を使っていないことになります。また、2020年の7月以降と2022年の6月以前の合計は、1223.98kWhであり同様でした。つまり、12畳用でも能力的には十分カバーできるといえます。一方、14畳クラス程度以上のエアコンは200V仕様のものの方がAPFは高く、期間消費電力量が低いものが多く存在します。200V仕様の中では出力が最小レベルとなる、14畳用=4kWクラスの中で低負荷時の効率が高いものを選ぶべきであるとの考えに至りました。そこで、「低負荷時に高効率となるコンプレッサー&モーター」を搭載するなど、低出力運転時に強いエアコンを候補とすべきであると考えました。東芝は、大きな容量と小さな容量の2種類のコンプレッサーを用意し、低負荷時には小容量のコンプレッサーのみを動かす「容量可変方式」を採用した機種を開発しました。ダイキンも低負荷での高効率を実現する独自の「スイング圧縮機」と呼ばれるロータリー方式を採用しています。ローラーが回転する際の冷媒ガスの漏れが少ないのが特徴で、低回転時の効率が高められているとのこと。一方、似たような取り組みとして、モーター側で低負荷時の効率を改善するものとして、前述した三菱電機のY-Δ結線切換があります。ここで、エアコンの交換候補モデルとしてまず考えたポイントは、単相100V仕様12畳用(3.6kW)にするか、単相200V仕様の14畳用(4.0kW)にするかです。実際に屋内配線の能力を見たところ、100Vで10A以上の電力消費があると3〜4Vの電圧降下が測定され、ここだけでも数%の電力ロスが出ていることがわかりました。100Vから200Vに変更すれば電流は約半分になり、配線で発生する損失も低減できます。(一般的な分電盤は、単相200Vが届いていることが多いです。その場合には、単相100Vから単相200Vへの変更は簡単です。ただし、電気工事士の資格が必要になりますので、エアコン設置工事の際に依頼しましょう。)そこで、単相200V仕様で低負荷時の効率が高いものが、筆者宅には適しているのではないかと考えました。これまで200Vで14畳を取り上げてきたのは、実はこのような経緯があったからなのでした。 このカテゴリーにあるエアコンとして、パナソニックのXシリーズとダイキンのAシリーズの200V・4kW仕様の製品を追加しています。なお、この2社には加湿・換気機能があるLXシリーズとRシリーズがそれぞれありますが、その機能を実装するために室外機の体積はさらに大型化しています。今回は、熱交換器の大きさの違いを比較するために、加湿・換気機能が省略された機種を対象としました。なお、加湿機能のありなしで消費エネルギー特性には大きな差が無いように見えました。なお、筆者は加湿空気清浄機を使っているので加湿機能には着目していません。


2023年14畳用モデル(4kW型)の室内機&室外機のサイズ比較

やはり、候補となる上位機種は室内機の奥行きは長く、室外機も大型化しているという共通点があることが確認できます。期間合計消費電力量は、どれも素晴らしく少ないレベルにあり、APFも7以上あることから、いずれもトップレベルの省エネルギーエアコンたちです。これらのエアコンについて、エネルギーに関する仕様を以下にまとめます。ここでは、最小運転時と最大運転時の能力を、そのときの消費電力で割ったCOPについても独自に計算してあります。ただし、最小COPの値は、冷暖房能力の有効桁数が1桁であるため参考値とします。

4kW型エアコン(2024年モデル)の消費電力仕様  

 

パナソニック
CS-X404D2

ダイキン
AN403AAP

日立
RAS-X40N2

三菱電機
MSZ-FZ4024S

シャープ
AY-S40X2

パナソニック
※CS-EX368A

定格冷房能力(kW)

4.0

4.0

4.0

4.0

4.0

3.6

定格冷房消費電力(W)

830

800

880

940

940

1010

冷房COP

4.82

5.00

4.55

4.26

4.26

3.56

冷房能力範囲(kW)

0.5〜5.8

0.5〜5.3

0.5〜5.5

0.4〜5.3

0.8〜6.0

0.8〜4.0

冷房消費電力(W)

120〜1800

85〜1330

155〜1800

70〜1350

110〜1900

140〜1250

冷房COP(最小運転)※

4.16

5.88

3.23

5.71

7.27

5.71

冷房COP(最大運転)

3.22

3.98

3.06

3.93

3.16

3.20

定格暖房能力(kW)

5.0

5.0

5.0

5.0

5.0

4.2

定格暖房消費電力(W)

950

900

920

960

1010

985

暖房COP

5.26

5.56

5.43

5.21

4.95

4.26

暖房能力範囲(kW)

0.4〜11.5

0.4〜12.2

0.4〜11.9

0.4〜11.7

0.8〜11.6

0.8〜6.2

暖房消費電力(W)

110〜4000

80〜3730

135〜3900

70〜3500

120〜3845

135〜1680

暖房COP(最小運転) ※

3.64

5.00

2.96

5.71

6.67

5.93

暖房COP(最大運転)

2.88

3.27

3.05

3.34

3.02

3.69

期間合計消費電力量(kWh)

1066

1066

1036

1022

1081

1503

APF

7.1

7.1

7.3

7.4

7.0

4.8

※能力の有効数字が小さく精度が低いため参考値、パナソニックCS-368A(2008年製)は以前使用していた機種

通常は、エアコンの効率を重視する場合はAPFが大きい、あるいは期間合計消費電力量が少ないものを選ぶというのが一般的です。その観点だと、1位三菱電機FZ、2位日立X、3位パナソニックXとダイキンAの順となります。よく見ると定格出力時は、冷房時はダイキンAやパナソニックXの順で消費電力が小さく(COPが大きく)、暖房時はダイキンAや日立Xの順で小さい消費電力となっています。定格出力で運転している時間が長い場合(断熱性能が高くない住宅の場合や広めの部屋で使う場合など)には、ダイキンA、日立X、パナソニックXが良いと思います。三菱電機FZシリーズとダイキンAシリーズは、最小出力運転時の消費電力が小さく、そのときのCOP値が高いため、低負荷運転時の効率が高いといえます。パナソニックXシリーズもそれに近い傾向であるので、中間的なポジションであるといえます。一方、日立Xシリーズは最小運転時の消費電力は多めとなっていました。これは、コンプレッサー種類の違いによるものではないかと推察します。三菱電機、ダイキン、パナソニック、シャープのコンプレッサーはロータリー型、日立はスクロール型ということで構造が異なっています。一般に、ロータリー型は低負荷時の効率が高く、高負荷時は低いという特徴があり、反対にスクロール型は高負荷時の効率が高く、低負荷時は低いとされています。以上の考察から、近年の高断熱型住宅にはロータリー型、断熱性能が悪い古い住宅にはスクロール型を選んだ方が、省エネルギー性能をより発揮できるのではないかと考えます。なお、スクロール型を高断熱型の住宅に使用する場合は、実際の部屋の広さよりも小さめのものを選ぶという手もあると考えます。低負荷時の効率では、シャープ、三菱電機、ダイキンが高そうです。シャープのAY-R40X2、AY-S40X2は室外機サイズが若干小さめであるため、定格運転から高負荷領域で効率を稼ぐことができていませんが、高断熱住宅であればむしろ好都合であるようにも見えます。

リビングルーム用14畳型エアコンの交換事例

筆者は今回は、三菱電機の製品MSZ-FZ4022S(家電量販点モデルMSZ-FZ4022Sと住宅設備モデルMSZ-FZV2022Sがあり実際には後者)を購入しました。2022年モデルのAPFは7.8ですが、21年モデルMSZ-FZ4021Sは7.9でした。なぜか22年モデルの方がAPF値はわずかに減少しています。期間合計消費電力量は958kWhと960kWhで2kWhの差異ですので、ほぼ同等ではないかと考えます。一方、最小運転領域の下限が105Wから70Wへ減少しており、超低負荷時の効率が改善できているのではないかと考えられます。近年の高断熱住宅であれば、実際的な省エネルギー性能は22年モデルの方が向上していると考えました。2024年モデルの三菱電機MSZ-FZ4024Sが発表されました。期間合計消費電力量が960kWhから1022kWhに増加し、APFは7.8から7.4に低下しました。機能的な違いとしては、立ち上がり時の消費電力を抑える エコスタート機能が加わりました。住宅性能を独自のアルゴリズムで学習し、立ち上がり時の消費電力を抑える機能ということで気になります。また、22年モデルの日立RAS-X40M2も、23年モデルRAS-X40N2に変わりましたが、期間合計消費電力量は1009kWhから1036kWhに増加し、APFは7.5から7.3に低下しました。23年モデルは「Premiumプラズマ空清」機能と「プラス換気ユニット」オプション対応が変更点ですが、前者の消費電力分の増加と測定誤差の見直しがあったのではないかと推測します。

三菱電機FZシリーズ4kW型の2021年、2022年、2024年モデルの仕様比較

 

三菱電機
MSZ-FZ4021S

三菱電機
MSZ-FZ4022S

三菱電機
MSZ-FZ4024S

定格冷房能力(kW)

4.0

4.0

4.0

定格冷房消費電力(W)

940

940

940

冷房COP

4.26

4.26

4.26

冷房能力範囲(kW)

0.6〜5.3

0.4〜5.3

0.4〜5.3

冷房消費電力(W)

105〜1350

70〜1350

70〜1350

冷房COP(最小運転) ※

5.71

5.71

5.71

冷房COP(最大運転)

3.93

3.93

3.93

定格暖房能力(kW)

5.0

5.0

5.0

定格暖房消費電力(W)

960

960

960

暖房COP

5.21

5.21

5.21

暖房能力範囲(kW)

0.6〜11.7

0.4〜11.7

0.4〜11.7

暖房消費電力(W)

105〜3500

70〜3500

70〜3500

暖房COP(最小運転) ※

5.71

5.71

5.71

暖房COP(最大運転)

3.34

3.34

3.34

期間合計消費電力量(kWh)

958

960

1022

APF

7.9

7.8

7.4

※能力の有効数字が小さく精度が低いため参考値

実際のエアコンの取付時に留意したポイントは、天井から室内機までの間隔です。近頃の高効率エアコンは室内機の上面から空気を吸い込み下面から吹き出すようなイメージです。そのため、室内機上部の空間を確保することが肝要であると考えました。エアコンの室内機や室外機には周囲に確保すべきスペースが設定されています。エアコン上部は一般に50mm以上が必要であることが多いです。本機は、大きな軸流ファンが2個付いているタイプですが、中央の奥側には空気が届きにくいと思われます。そのため、据付工事説明書によると上部隙間は70mm以上が指定されています。この数値はあくまでも最小値であると考えるべきであり、筆者の流体解析の経験から1.5〜2倍程度以上の隙間を空けた方が空気の流れがスムーズになる(吸い込むべき空気が中央奥側に達しやすい)と判断しました。空気抵抗が小さくなることで熱交換器を通る空気の量が増え、かつ均一化されることで、熱交換率を高めることができると思われます。筆者宅では140mmを目標にしましたが、結果的には150mm程度となりました。部屋の中央付近に設置できたので、左右のスペースも十分に空いています。

 

室外機のスペースは、背面と左面は100mm以上、右面は350mm以上、上面は100mm以上、前面は200mm以上が必用とされています。ここでも、室内機と同様に背面は200mm、左側は180mm(配管長の都合)、右面、上面、前面は十分な空間を確保しています。エアコン台座は一般的なポリプロピレンPP製で高さが75.5mmのものが付いていました。室外機脚部は376mmの奥行きがあるのに対して、台座上部の奥行きは360mmとわずかに短くなってしまいました。台風の際に室外機が強風で動いた経験があるため、コンクリート台座の高さ90mm、奥行き500mmのものに交換しました。本来は窓の底面よりもエアコン室外機上面の高さを低くしたかったのですが、バルコニーの手すり高さよりもかなり低いことから、視界には影響が少ないので良しとました。室外機下側の隙間も増えるため空気の流れは良くなるはずですが、直射日光に温められた地面付近の空気を吸い込む可能性があるかもしれません。しかしながら全体的には、より高い位置の空気を吸い込めるので、相殺されるかプラスになると考える(信じる?)ことにしました。排気口から吹き出した空気が、吸気口から吸い込まれる現象をショートサーキットと呼んでいます。(電気回路のショートサーキットと似ていますが異なる現象ですので、どちらの話か混同しないように注意が必要です。)バルコニーなどでは、とくにショートサーキットにならないような室外機のレイアウトを考える必要があります。ここで、下記写真(左)をよく見ると、冷房運転中に室外機写真の配管付根から水滴が垂れているのを発見しました。室外機から配管への間には、バルブの開閉や、エア抜きを行う3方弁がありますが、ここには断熱材がありませんでした。配管がむき出しになっているところで結露して、水滴となって流れ出していたのです。このような部分には、パナソニックの「2・3方弁用仕上材CZ-HS3K」という断熱材があり、配管接続部をこれで覆うことにしました。これで、水滴の漏れがなくなり、熱の漏れが多少なりとも減って省エネにつながるだろうと期待しています。

  

外気温30℃のときに室温27.0℃に設定して定常運転を行っているときの、赤外線画像を示します。室内機の吹き出し口は19℃程度であり、もう少し風量を多くした方が省エネルギーになるかもしれないと思いました。湿度は65%であるので、除湿効果を期待するとこのような低温の送風になるのかもしれません。室内機の右上の温度が高くなっていますが、熱交換器から距離が離れているか、電子基板からの発熱の影響ではないかと考えます。上部中央付近の発熱ポイントは無線LANモジュールからの熱で、本体右下は熱画像を撮影するムーブアイのセンサー部です。配管下側が最も温度が高くなっていますが、ここには自然給気口と負圧作動レジスタがあり、外の空気を吸い込んでいるからです。室外機ですが熱交換器は32.5℃程度となっていました。外気温+α程度で済んでいるのは、熱交換器の大きさによるものではないかと思います。なお、室外機左側と右下に青い部分が見えます。左側は配管で通常の断熱材のみですが、冷気が若干ですが漏れていることになります。ここには、外側から断熱材を追加した方が良いかもしれないと考えています。右下は3方弁から配管につながる部分になります。(下記、仕上材は適用済み)

 

2022年7月の消費電力量は89.1kWhでした。前年の117.67kWhよりも24.3%ほど少なくなりました。2022年7月の横浜の最高気温は平均31.0℃、最低気温は平均24.8℃でした。2021年7月は、それぞれ30.0℃と23.5℃でしたので、2022年は平均で1〜1.2℃高かったことになります。同条件であれば、もう少し改善幅は大きくなったのではないかと思われます。2022年8月の消費電力量は79.4kWhで7月よりも少なくなりました。平均気温は7月よりもわずかに高かったので、配管の断熱と運転の設定がうまくなったことの相乗効果ではないかと考えています。前年は170.38kWhでしたので、90kWh以上の削減量で半分以下となる大幅な改善となりました。1kWhあたり31円として、2821円分の電気代節約となりました。(継続して計測を予定しています。) 2022年9月は33.6kWhでしたので、21年9月より微増でした。9月の最高気温と最低気温の平均は前年と2℃以上あったので、同程度ということでも節電効果はあったと考えます。2022年10月は3.0kWh、11月は6.2kWh、12月は83.4kWhでした。

2008年モデルNational CS-EX368A(ピンク背景)から2022年モデルMitsubishi MSZ-FZ4022S(水色背景)に交換した前後の消費電力量実測値の推移(kWh)
  1月 2月 3月 4月 5月 6月 7月 8月 9月 10月 11月 12月 年間合計
2020年消費電力量(kWh)           16.65 63.04 218.68 69.03 0 28.67 204.83 -
2021年消費電力量(kWh) 262.10 173.80 77.88 14.88 0.04 14.73 117.67 170.38 33.39 25.49 63.88 199.19 1153.43
2022年消費電力量(kWh) 280.30 221.41 95.32 22.06 3.33 17.31

89.1

79.4 33.6 3.0 6.2 83.4 934.43
2023年消費電力量(kWh) 132.0 96.2 41.4 3.8 1.3 14.9 82.9 98.4 48.7 3.2 31.1 85.7 639.60
2024年消費電力量(kWh) 97.9 76.0 64.6 4.1                  

 

エアコン運転方法の工夫

高効率エアコンへの交換によって消費電力量を減らすことができました。この削減は、エアコンの性能もありますが、運転方法の工夫も効いているかもしれません。具体的な暖房事例だと、MSZ-FZ2022Sは4つの時刻に温度をセットできるので、朝4〜5時頃(朝方にかけての気温変化に応じて変更)に、タイマー1をセットして16℃で暖房運転を開始。タイマー2で6:40に17℃、タイマー3で7:00に18℃、タイマー4で7:20に19℃と設定温度上げていきました。その後、起床して手動で20℃にセットし、しばらくして21℃にセットするようなイメージで運転しています。(普段は最終的には21.5℃に設定するという方法にしていますが、出勤してしまう場合には、21℃でオフにすることも多いです。)普通に21℃に設定してスイッチをオンにして暖房を行った場合(左:2023年2月21日)と、徐々に温度上昇を行った場合(右:2023年2月22日)を比較します。消費電力はクランプ電流計、温度はエアコン吹き出し口から離れた室内の温度計で測定しました。両日とも外気温の最低気温は0〜1℃程度でした。

 

普通に暖房をスタートさせた場合は、エアコンが徐々にパワーを増していき、1600Wを越える消費電力ピーク(定格暖房消費電力960Wの1.75倍)となったあと、設定温度に近づくにつれてパワーが絞られていきました。最大暖房消費電力は3500Wであることから、この日の最大出力は半分以下となっています。このとき、エアコンの室内温度計測値をアプリで確認すると、室内の温度計よりも高めになっていました。室内温度の空間分布にムラがあり、温度が安定するまでにタイムラグが発生していることが影響しているように感じました。なの、電流のピークカットはONにしていることも関係しているかもしれませんが、この機種には熱画像センサを使った「ムーブアイmirA.I.+」が付いているので、人がいない状態ではがんばらなくて良いと判断したのかもしれません。一方、徐々に設定温度を上げた場合は、まず16℃の設定でスタートしたところ、大きめの消費電力1200W(定格暖房消費電力960Wの1.25倍)で運転を開始しました。しかし、温度を上げる必要がないことから、間もなく運転をストップ。その後は400W程度以下で運転を行っていました。両者を比較すると、通常の運転開始では845Wh、徐々に温度を上げる運転では631Whとなり、やはりゆっくり温度を上昇させた方が消費電力が抑えられることがわかりました。これは、クルマで一気に加速するか、ゆっくり加速するかの差で燃費が変わることと同様な現象であると考えると理解しやすいと思います。 今回のケースでは25%程度の電機エネルギーを節約したことになります。なお、エアコンを入れっぱなしの方が電気エネルギーを節約できるという話しを聞きますが、高い室温を維持した場合には外気温との差が大きくなって熱逃げの影響が大きくなります。筆者としては16℃程度で運転を行い続けるか、エアコンを切って16℃程度になる時間を見計らってタイマーを使って16℃でオンとするのが良いのではないかと考えています。極寒の地域では、本機種にある暖房10℃設定で運転するという方法を使った方がよいかもしれません。

2023年12月以降からは、浴室に付いている換装換気扇ナショナルFY-13UGP1の24時間換気の風量を以前よりも減らしました。仕様値の上では、標準で100m3/hから80m3/h、弱で80m3/hから60m3/hになり、乾燥する冬場は主に弱を使うことにしました。調理の際なども含めてレンジフードを併用することで、CO2メーターで1000ppmを超えないように監視しながら換気量を調整しています。2022年12月〜2023年2月にかけては、エアコンの性能向上と様々な対策が重なりあい、前年の半分程度以下の消費電力量に抑えることができました。ただし、加湿量は21年12月から22年2月は50〜60%程度であったのに対し、22年12月〜23年2月は窓の結露量を減らすために40〜50%程度と少し少なめにしています。14年が経過した中級機と最新の高性能機の比較となるため、当初の想定よりも高い省エネルギー効果を得ることができました。

寝室用6畳型エアコンの現状

まずは筆者宅にあるナショナル(現パナソニック)2008年モデルCS-228TBの消費電力量を示します。

CS-228TBの消費電力量実測値(kWh)
  1月 2月 3月 4月 5月 6月 7月 8月 9月 10月 11月 12月 年間合計
2020年消費電力量(kWh)               22.37 12.13 0 0 51.71 -
2021年消費電力量(kWh) 87.47 62.07 35.66 5.24 0 0 10.30 14.31 0.48 0.57 11.12 66.02 293.24
2022年消費電力量(kWh) 106.83 79.40 44.91 6.93 0 3.83 25.89 24.68 6.48 0 0 36.36 335.31
2023年消費電力量(kWh) 61.93 47.23 11.19 0.19 0.20 4.74 26.26 27.29 22.29 0.92 5.77 34.19 242.30
2024年消費電力量(kWh) 55.86 42.78 36.45                    

寝室用ということで昼間の運転が無いことから、2021年は定格900kWhの1/3程度の293.24kWhと低めの年間消費電力量となっています。このような状況であることから、買い換えが先延ばしになっています。21年12月と22年1月は前年よりも電力消費量が増えていますが、これはコロナ対策として加湿を強めに行った影響かもしれません。窓の結露がすごいことになっていました。22年12月以降は劇的に電力消費量が減っています、加湿をほぼ止めたことが原因かと思われます。こんなにも差が出るとは驚きです。とりあえず電気代を31円/kWhとして計算すると年間合計で9090円となり、仮に最新型に変えても年間で3000円程度が節約できるかどうかというレベルです。(45円/kWhの水準でも年間で4500円程度の節約)今後の買い換えに備えて、電力量の測定を続けたいと思います。2023年2月1日、エラーランプが点滅しF91というエラーコードが表示されました。その後、復帰してはいますが、修理費を考えるとできるだけ早い段階で交換するべきではないかと考えはじめたところです。

寝室用6畳型エアコン検討の最新事例

次に6畳用でも比較検討しました。パナソニック、ダイキン、日立は同じシリーズで100V仕様がラインナップされています。室内機の大きさも全く同じで、奥行きが大きいものとなります。三菱電機FZシリーズは200V仕様の14畳用が最小となり、6畳用が存在しないため同社のZシリーズに変更しました。シャープの6畳用エアコンAY-R22X(2023年モデル)もAPFが7.2と高めで、低負荷運転時の効率が高いようです。とくに冷房側の低負荷運転時の消費電力が130Wから75Wに激減しました。暖房側も95Wで最小運転でき、COPも高いので高断熱住宅に向いているように思えます。2024年モデルのAY-S22XもAPFは7.2で同様です。三菱電機のMSZ-ZW2222(2022年モデル)、ZW2223(2023年モデル)、MSZ-ZW2224(2024年モデル)は、低負荷運転時の消費電力が105Wと低めであり、こちらも同様に優秀であると思われます。これに対して、現在使用しているナショナルのCS-228TBは、APFが4.9と発売当時は標準的でしたが、今となっては最新の高効率機よりもかなり低いものとなっています。また、質量は室内機で約半分、室外機も2/3程度です。とくに室内機の奥行きは、比較した他の製品の約半分ということで、大きさもだいぶ違います。なお、今回比較した新型機種はいずれも最大出力が増加しており、その分、普段は余裕を持った運転を行えているものと思います。


2023年6畳用モデル(2.2kW型)の室内機&室外機のサイズ比較

やはり、6畳用(2.2kW)エアコンでも14畳用(4kW)と同様に高効率機は大きく重いという共通点がありました。6畳用のAPFでは、日立の23年モデルRAS-X22N、24年モデルのRAS-X22Rが7.4(22年モデルRAS-X22Mは7.5でした)で最も高い値となっていました。日立のエアコンのコンプレッサは、スクロール式ということから高出力に強いので、断熱性能が悪い古い住宅に向いているのではないかと考えます。高断熱型住宅であれば、より広い部屋にも対応できると思います。実は、日立のエアコンの仕様表を見ていると、100V仕様については、6畳用と8畳用は15A、10畳用と12畳用は20Aが最大電流となっています。その結果、暖房能力については2種類しかありません。実際のところ、室外機は100V 15A、100V 20A、200V 20Aの3種類程度に絞り込み、多くのメーカーでROM(Read Only Memory)による出力制限を、冷房運転側で行っているケースが多いようです。しかしながら、暖房については生死に関わる?という理由からか、高めの能力で揃えられています。夏場が涼しく冬場が厳しいエリアでは、暖房能力に注目して冷房能力が小さめの(設置する部屋よりも畳数が小さめの)エアコンを選んでも良いと思います。次に、消費電力関連の仕様を表にまとめます。

2.2kW型エアコン(2023年モデル)の消費電力仕様

 

パナソニック
CS-X223D

ダイキン
AN223AAS

日立
RAS-X22N

三菱電機
MSZ-ZW2223

シャープ
AY-R22X

ナショナル
CS-228TB

定格冷房能力(kW)

2.2

2.2

2.2

2.2

2.2

2.2

定格冷房消費電力(W)

425

425

400

425

410

455

冷房COP

5.18

5.18

5.50

5.18

5.37

4.84

冷房能力範囲(kW)

0.4〜3.6

0.5〜3.3

0.4〜3.5

0.6〜3.4

0.4〜3.4

0.8〜2.8

冷房消費電力(W)

110〜920

115〜960

115〜900

105〜850

75〜810

145〜620

冷房COP(最小運転) ※

3.64

4.35

3.48

5.71

5.33

5.51

冷房COP(最大運転)

3.91

3.44

3.89

4.00

4.20

4.52

定格暖房能力(kW)

2.5

2.5

2.5

2.5

2.5

2.2

定格暖房消費電力(W)

440

450

430

465

430

385

暖房COP

5.68

5.56

5.81

5.38

5.81

5.71

暖房能力範囲(kW)

0.3〜6.0

0.6〜6.2

0.3〜6.0

0.6〜5.2

0.7〜5.6

0.8〜3.9

暖房消費電力(W)

105〜1930

110〜1880

110〜1490

1051480

951485

140〜1020

暖房COP(最小運転) ※

2.86

5.45

2.73

5.71

7.37

5.71

暖房COP(最大運転)

3.11

3.30

4.03

3.51

3.77

3.82

期間合計消費電力量(kWh)

594

630

562

594

578

900

APF

7.0

6.6

7.4

7.0

7.2

4.9

※能力の有効数字が小さく精度が低いため参考値

2.2kW型エアコン(2024年モデル)の消費電力仕様

 

パナソニック
CS-X224D

ダイキン
AN224AAS

日立
RAS-X22R

三菱電機
MSZ-ZW2224

シャープ
AY-S22X

東芝
RAS-N221DR

定格冷房能力(kW)

2.2

2.2

2.2

2.2

2.2

2.2

定格冷房消費電力(W)

425

390

400

425

410

430

冷房COP

5.18

5.64

5.50

5.18

5.37

5.12

冷房能力範囲(kW)

0.4〜3.6

0.7〜3.3

0.4〜3.5

0.6〜3.4

0.4〜3.4

0.7〜3.9

冷房消費電力(W)

110〜920

115〜850

115〜900

105〜850

75810

130〜1100

冷房COP(最小運転) ※

3.64

6.09

3.48

5.71

5.33

5.38

冷房COP(最大運転)

3.91

3.88

3.89

4.00

4.20

3.54

定格暖房能力(kW)

2.5

2.5

2.5

2.5

2.5

2.5

定格暖房消費電力(W)

440

440

430

465

430

440

暖房COP

5.68

5.68

5.81

5.38

5.81

5.68

暖房能力範囲(kW)

0.3〜6.0

0.6〜6.2

0.3〜6.0

0.6〜5.2

0.7〜5.6

0.6〜5.4

暖房消費電力(W)

105〜1930

110〜1820

110〜1490

105〜1480

95〜1485

120〜1500

暖房COP(最小運転) ※

2.86

5.45

2.73

5.71

7.37

5.00

暖房COP(最大運転)

3.11

3.41

4.03

3.51

3.77

3.60

期間合計消費電力量(kWh)

594

594

562

603

578

594

APF

7.0

7.0

7.4

6.9

7.2

7.0

※能力の有効数字が小さく精度が低いため参考値

14畳用では、200V仕様であるにも関わらず最小運転電力が70〜80W程度に抑えられていた機種がありました。6畳用の100V仕様では、シャープの23年モデルAY-R22Xが最小運転時の消費電力が冷暖房とも100Wを切るモデルとしてデビューしましたが、それ以外では105〜110Wとなっています。最小運転時の消費電力と能力については、6畳用も14畳用の設計にならって改善されることが望まれます。これらの中で、高断熱住宅6畳用を選ぶとすると、どれも素晴らしい性能ではありますが、小出力時の効率に優れたシャープAY-R22X、AY-S22X、三菱電機のMSZ-ZW2223、MSZ-ZW2224か、地力に優れた日立のRAS-X22N、RAS-X22Rが良いのではないかと考えます。なお、高負荷暖房運転は日立のXシリーズの効率が高いです。断熱性能が高くない古い住宅では、高負荷運転に強い日立のXシリーズが適していると思われます。とくに、15Aまでであるのに他の20A機に匹敵する暖房能力をもつ日立のXシリーズやシャープのR-X、S-Xシリーズは、優秀であると感じました。なお、24年モデルではダイキンのAシリーズで低負荷領域を中心に効率改善が進み、APFが7.0に達しました。

今回は100V最小機の6畳用を検討しましたが、10畳用や12畳用であると、室外機能力が変わったり、運転負荷の傾向が変わる可能性があるため、改めて比較を行う必要があるでしょう。なお、日立のRAS-X22N(23年モデル)、RAS-X22R(24年モデル)の期間消費電力量562kWhでAPF7.4ですが、22年度モデルのRAS-X22Nはそれぞれ555kWhと7.5であったので、若干ですが数値が悪くなりました。定格能力や最大最小の能力などと消費電力は同一であるので、測り方の問題で実質的には同じ水準であると思われます。他の一部のメーカーでも、近年、期間合計消費電力量が増え、APFの値が下がる傾向があり、正確な表示を目指した結果ではないかと想像しています。

6畳用エアコンを寝室に設置

ようやく寝室用の6畳用エアコンを交換しました。購入したのはシャープのAY-R22Xです。今のところ消費電力量の変化を確認するには至っていませんが、期待通り削減できそうに思われます。Wi-Fi対応で、CO2センサーが付いていることから、待機電力が増えそうなのが気になるところではあります。ここで、意外というか驚いたのは、換気口を開いていても、部屋の出入り口の扉を閉め切っていると室内のCO2濃度が1000ppmを越えて高くなることです。呼気だけでなのですが最大で3000ppmに達してしまうこともあり、扉を10cm程度開けて寝るようにしました。ちょっと高すぎるような気がしますので、他のCO2センサーと比較してみたいと思います。

2008年モデルNational CS-228TB(ピンク背景)から2023年モデルSHARP AY-R22X(水色背景)へ交換した際の消費電力量の実測値推移(kWh)
  1月 2月 3月 4月 5月 6月 7月 8月 9月 10月 11月 12月 年間合計
2020年消費電力量(kWh)               22.37 12.13 0 0 51.71 -
2021年消費電力量(kWh) 87.47 62.07 35.66 5.24 0 0 10.30 14.31 0.48 0.57 11.12 66.02 293.24
2022年消費電力量(kWh) 106.83 79.40 44.91 6.93 0 3.83 25.89 24.68 6.48 0 0 36.36 335.31
2023年消費電力量(kWh) 61.93 47.23 11.19 0.19 0.20 4.74 26.26 27.29 22.29 0.92 5.77 34.19 242.30
2024年消費電力量(kWh) 55.86 42.78 36.45 1.24                  

まとめ

省エネルギー性能を重視する場合のエアコン選びのポイントは、APFの値を参考にします。室内機と室外機(の熱交換器)が大きい方が、APFが高くなる傾向があります。20畳用以上の大きな能力が必要になる場合には、1台の高出力機よりも、2台の低出力機に分散した方が、実質的な熱交換器の大きさを稼ぐことができるので、省エネになる可能性があります。また、大型機の場合は業務用のパッケージエアコンを選んだ方がよいでしょう。

室内外の温度差が小さく低負荷時(定格の半分程度の負荷)のヒートポンプは、熱を移動させる効率が高くなるため、一般にCOPは高くなります。APFを高くするには、さらに低負荷時の効率を高めることが効果的となります。エアコン選びには、使用する室内の状況(断熱性能、日当たり、換気量など)を考慮する必用があります。トータルでのコスト低減を重視する場合には、期間合計消費電力量(kWh)に使用予定年数と電力単価(円/kWh)を乗じて生涯電気代を計算し、エアコンの導入コストと合計して最小値を選ぶことになります。電力単価目安は、全国家庭電気製品公正取引協議会によって、2014年(平成26年)4月に27円/kWhと定められましたが、2022年(令和4年)7月には31円/kWhに改定されました。電力危機と地球温暖化抑止の観点から、省エネルギー側に振って判断するのが良いと考えます。もちろん、エアコンには、静音性、クリーニング機構、加湿・除湿機能、換気機能など、省エネルギー性能以外の付加価値もあるため、総合的に判断することが必要になるでしょう。2023年の秋には2024年モデルの発表がはじまりました。マイナーチェンジのものとフルモデルチェンジのものがありますが、換気機能を売りにする製品が増えているようです。どのような省エネルギー性能の進化を見せるのか、注目したいと思います。東芝のK-DRシリーズ、本格的な新製品であるようなので注目しています。2024年11月時点では、6畳用のエアコンはシャープのAY-R22X(2023年モデル)またはAY-S22X(2024年モデル)が、高断熱住宅向けとしては最も省エネになるのではないかと思われます。

参考リンク
資源エネルギー庁「エアコンディショナーの次期目標基準の方向性について(案)」(2021年10月18日)
荒野楓 エアコン技術発展の系統化調査(国立科学博物館技術の系統化調査報告 Vol.24 2017. March)
第53回機械振興賞概要 高気密高断熱住宅向けルームエアコンの開発 三菱電機(2018年)

お断り:上記データの多くは2023年1月9日時点の調査のものです。今後の開発動向や社会情勢などで値は変化します。また、東海大学木村研究室が省エネルギーの観点から見たものであり、使い勝手や、デザイン、便利機能などはほとんど考慮されていません。実際の購入の際には、ご自身で総合的に判断されることをお勧めします。なお、エアコンの斡旋を目的としていませんので、個別のお問い合わせにはお応えできない場合もあります。ご容赦ください。