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第2回 もし、59兆円が自由に使えたら (2008年3月30日)

ガソリンの暫定税率が間もなく期限切れで、4月1日から(数日遅れて?)高騰しているガソリン価格が24円ほど安くなるかもしれません。ガソリン代が安くなれば、うれしいですけど、それでいいんでしょうか? 道路が欲しいという人たちも多いようですが、そんなに道路が必要なんでしょうか?

日本の道路を人間の血管に例えると、いまや冠動脈が詰まりそうな状態で、都市部での大渋滞は深刻な状況です。当然、そこを走る自動車の燃費も著しく低下しています。また、無駄なエネルギーの消費はヒートアイランド現象の原因のひとつとなるでしょう。実際のところ、高速道路を造っても、料金が高ければ積極的には使われません。特に一般道が整備されている地方の場合、高速道路と並行して走る道を実質80km/hくらいで走行できてしまうことも多いようです。四国の高速道路を走行したときですが、あまり自動車は走行していなかったことを記憶しています。

報道などを見ると、どうやら道路を造るだけではお金を使い切れていないようなので、道路特定財源をいっそのこと一般財源化してしまえという話もありますが、使うことを考えるよりも借金を返すことを考えた方がいいかもしれません。

でも、私だったら風力発電や太陽光発電の導入に使ってみたいです。まず、古いデータですが、「東洋経済」2007年11月号によると、2006年11月時点でのガソリン価格は、日本で130円/Lで、韓国やEUなどではすでに日本よりも価格が高いことがわかります。イギリスでは、すでに200円を超えているようです。

さて、ここでガソリン価格に上乗せして(つらいですが)、風力発電や太陽光発電の導入に59兆円を捻出すると、どうなるか考えてみました。

風力発電の場合、 100万kW級発電機300基分相当の発電設備を導入することができます。稼働率を20%として、原発60基分にはなりそうです。
太陽光発電の場合、100万kW級発電機100基分相当の発電設備を導入することができます。稼働率を12%として、原発12基分にはなりそうです。

この数字は、現状の導入価格をベースにしていますので、この規模の需要が確実にあれば、コストダウンも見込めると思います。たぶん10年で20兆円くらい投入してみて、様子を見てもいいと思います。余った分は、ハイブリッド車や電気自動車の導入促進、急速充電スタンドの整備などに当ててもいいと思います。これでも、まだ余ると思います。残りは地球温暖化抑止するためのコージェネレーション設備の導入など、省エネルギー技術の促進に使っては? 59兆円はなかなか使いきれません。でも、これだけ使えば相当CO2の排出を押さえ込めるのではないでしょうか?

これで、京都議定書の目標値に対して、どの程度効果が出るかは、検証が必要そうです。

なお、変動が大きい自然エネルギーの規模を大きくすると、発電変動などを吸収するのが大変になりそうですが、風力発電同士、太陽光発電同士、そしてこれらをミックスして、発電設備を並列化することで、安定度はある程度改善できると思われます。

そもそも、わたしたちは常に安定した生活を望みますが、もともと農耕や風車などは、太陽や風に合わせて行うものです。帆船だって、風が吹かなければ動かないのが当然でした。自然エネルギーの変動に、私たち人間が合わせるという姿勢が多少あってもよいのではないでしょうか?

基本的にはガソリンなどの化石燃料に添加する税金は、温暖化対策やエネルギー確保のために使うべきであり、一般財源化する必要はないと思います。むしろ、一般財源は消費税など、もっとカバー範囲が広いものから取るべきだと考えます。